源ノ明朝/角ゴシック-5 フルセット版

源ノ明朝/角ゴシック-4の続きです。

サブセット版は、日・簡・繁・韓のそれぞれで、フォントのグリフを必要なものだけにしています。ペアにする文字コードも必要なものだけです。

一方で、フルセット版は、日・簡・繁・韓のいずれにも全てのグリフがあります。完全に同一で違いはありません。そして、ペアにする文字コードも完全に同一で違いはありません。

それでは、フルセット版の日・簡・繁・韓の違いは何でしょうか。

文字コードとペアになるグリフが違います。それぞれに合ったグリフとペアになるように、日・簡・繁・韓で設定を変えているのです。

それでは、文字コードとペアになれないグリフ(上図で薄灰色のグリフ)はどうなるのかというと、当然このままでは表示できません。あるのに使えない状態です。日・簡・繁・韓の漢字を使い分ける(薄灰色のグリフを表示する)には、サブセット版と同じく各言語のフォントを使い分けることになります。

ただし、フルセット版には特別な仕組みが用意されていて、フォントを変えずに薄灰色のグリフの表示が可能です。その仕組みを使えば、どれか1つのフォントだけでこと足ります。でも、その仕組みが使えるアプリは、2017年現在で(私が知る限り)、Adobe InDesign、Google Chrome、Firefoxの3つのみです。その他のアプリはほとんどすべて、薄灰色のグリフを表示する機能がありません。

特別な仕組みは次回で説明します。ここでは、その仕組みに非対応なアプリでフルセット版を使う場合を考察します。

どちらを使えばいいのか?

繰り返して言いますが、ほとんどのアプリでは、サブセット版とフルセット版の使い方は全く同じです。日・簡・繁・韓の漢字を使い分けるには、各言語のフォントを使い分けるしかありません。この場合、サブセットとフルセットで違いはあるのでしょうか。

日本語版で見てみます。「表示できる文字=文字コードとペアになれるグリフ」なので、文字コードで比較します。

「非漢字」と「漢字(日本語)」は完全に同一です。

サブセットにないのは、まずハングルです。日本語とハングルの混植で、さらに韓国語の漢字を使わないのであれば、フルセット版がよさそうです。

残るは「漢字(日本語以外)」です。ここで問題になるのは、漢字統合で簡・繁・韓の漢字が同じ文字コードにされている場合です。文字コードとペアになれるのは1つだけですから、日本語版ではどれが表示されるのでしょうか?

調べて見たのですが、正直、よく分かりません。とくに一貫した方針はないような印象を受けました。つまり、どれが表示されるかは、表示してみないと分からない状態です。とはいうものの、この領域は特別な仕組みを使うために用意されているのであって、その仕組みが使えないのなら不要な領域です。漢字を使い分けるにはフォントを変えるしかないのですから、結局はサブセット/フルセットのどちらでも構わないことになります。

ここで私の個人的な判断を言えば、サブセット版を薦めます。

  • サブセット版の方がフォントファイルとしてずっと軽いので、システムへの負荷を抑えられる。
  • Adobeアプリの字形パネルに表示される文字数が、サブセット版の方は不要なグリフが表示されないので、煩雑さを抑えられる。
  • 日本語だけの文にうっかり「漢字(日本語以外)」の文字コードが紛れ込んでも、サブセット版は文字化けするか他のフォントで表示されるので、むしろ見つけやすくて安全。

これらにそれほどメリットを感じられないのでしたら、フルセット版でもまったく構わないと思います。

文字っ子向け:現在のv.1では「漢字(日本語以外)」の領域で約6000個のJPグリフが表示されます。しかしv.2以降でHKグリフを収納するためJPグリフを約4000個削除することが予告されています。不確定であることと、話をシンプルにするため、ここではあえてJPグリフを考察の対象にしませんでした。

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