FONTPLUSは、フォントベンダーのフォントワークスが提供しているWebフォント配信サービスです。そのFONTPLUSで史上初のchws/vchw機能が実装されました。これがすごいんです。
FONTPLUS – 全角約物が連続したときのアキを調整する
chws/vchw機能は、日中韓の言語で、全角約物が並んだときの不自然なすき間を自動調整し、自然な見た目にする機能です。
DTP用のアプリでは、昔のPageMakerから現在に至るまで、日本語版アプリにはすべて全角約物アキ調整機能がデフォルトで実装されてきました。しかしWebブラウザのWebKitやBlinkのようなレイアウトエンジンには、今もなお実装されていません。今後も実装されることはないでしょう。このような日中韓の高度なレイアウト機能をサポートしない環境のために用意されたのが、chws/vchw機能です。
chws/vchw機能は、OpenTypeフォントの機能です。本来はレイアウトエンジンで処理することをフォントが肩代わりするために考案されたものです。Googleの石井宏治氏が発案し、Adobeのケン・ランディ氏が開発、正式にOpenTypeフィーチャータグとして登録されています。
この機能は本当にすごいんですけど、そのすごさは実感できるものではありません。なぜかというと、これはマイクロ・タイポグラフィの領域だからです。
マクロ・タイポグラフィとマイクロ・タイポグラフィ
マイクロ・タイポグラフィの特徴は、それが高度に適切に施されるほど、適切に施されたことが認識できなくなることです。もちろんタイポグラフィを生業にしている人には分かります。しかし、それ以外の人には分かりません。組まれる文章に認識できないほどの自然さを施すのが目的だからです。
chws/vchw機能は、日中韓の高度なレイアウト機能をサポートしない環境でも、組まれる文章に認識できないほどの高度な自然さを施すものです。この自然さは人為的に意図的に施してこそ得られるものです。しかもFONTPLUSでは、ほんの少しの設定で実現できてしまうのですから、このサービスを利用しているのなら積極的に使うべきでしょう。