InDesignで引用符をどうすればいいのか

InDesignで縦組みにしているとき、下図のように適切に「和文の引用符」と「欧文の引用符」を使い分けたいですよね。
理想の引用符
でも自動的にこうなってくれません。以下のうちのどれかになってしまいます。
最初の状態
こうなるのには根本的なワケがあります。

英数字などは、文字コードのレベルで(いわゆる)全角/半角に分けられていて、これがそのまま和文用/欧文用として区別されています。文字入力の時点で全角/半角を使い分けることで、InDesignにもこの区別がそのまま反映されます。

ところが、引用符は文字コードのレベルで全角/半角の区別がありません。そのため文字入力でも和文用/欧文用の区別ができません。InDesginでもどちらか一方のみになってしまいます。これが引用符の文字組版を難しくしています。

それでは、引用符を適切に使い分けるにはどうすればいいのか。結局のところ、InDesignに文字を入れた後に、個々の引用符をそれぞれ個別に和文用/欧文用に設定するしかありません。

以下はそのベストな設定を考えたものです。なるべくシンプルな設定を目指しました。

ただ、どうしてもシンプルにできないところがあります。

  • その引用符を和文用にするのか、欧文用にするのか、この判断をコンピューターに自動的にさせるのは不可能です。人間が文意を読み取って個々に判断するしかありません。
  • InDesignのバージョンを「CS5.5まで」「CS6」「CC以降」の3つに分けて対処する必要があります。
  • この設定方法はフォントの引用符に「等幅全角字形」と「プロポーショナル字形」が設けられている場合のみ可能です。

CS5.5までの設定方法

  • 和文用引用符 →「等幅全角字形」を適用する
  • 欧文用引用符 →「プロポーショナル字形」を適用+文字回転マイナス90°

CS6での設定方法

CS6ではオフ
環境設定「組版」の「縦組み中で引用符を回転」をOFFにします。この機能はCS6で搭載されたのですが、実装に失敗しています。もう大失敗。使うと混乱の坩堝に叩き落とされるので使ってはいけません。ここをOFFにして「CS5.5まで」と同じ方法で対処します。

CC以降の設定方法

CC以降はON
環境設定「組版」の「縦組み用の引用符を使用」をONにします。CS6で失敗した機能が修正されて成功しています。そして、

  • 和文用引用符 →「等幅全角字形」を適用する
  • 欧文用引用符 →「プロポーショナル字形」を適用

「CS5.5まで」と同様に対処します。違うのは「文字回転マイナス90°」をしなくていいこと。

この方法の利点

引用符がどんな状態でも一律にこの方法で対処できます。和文/欧文用はそれぞれ文字スタイルにすると良いでしょう。そして「とりあえず正規表現スタイルですべて和文用にして、欧文用は個別に設定する」というように手数を最小限にする工夫も可能です。

なお、設定しなくても欧文引用符のように見える箇所も「プロポーショナル字形」を適用した方が良いです。フォントによって和文用/欧文用の引用符で、字形、字形の位置、字幅が異なる場合があるので、欧文用はちゃんとプロポーショナル字形にしましょう。もちろん欧文引用符の前や後には欧文スペースを入れます。

横組みの場合

横組みでも引用符の和文/欧文用の区別は自動的にできません。以下のうちのどれかになります。
横組の最初の状態
ここは全バージョン共通で「CC以降」の方法で一律に対処すればOKです。


追記1

CC 2019で「縦組み用の引用符を使用」の表記が「縦組みで引用符を横組み用として使用する」に変更されました。

これは日本語表記が変わっただけで、機能は同じで変わっていません。表記だけ見れば意味が真逆になっていますけど、こちらの方が機能としてより正しい説明です。もっと正確に表記するなら「縦組みで引用符を横組み用として使用する。ただしvertでグリフ置換が可能なら正立回転して縦組み用の引用符を使用する」となります。CC 2018までは後半の意味、CC 2019は前半の意味なんですね。

「等幅全角字形」を適用するのは、vertでグリフ置換が可能な状態にするのが目的です。

追記2

合成フォントの特例文字で引用符を欧文フォントにしていると、他のInDesignバージョンで開いた時に困る事態になるかもしれません。
InDesignで引用符を合成フォントの特例文字で欧文フォントにしている場合の引用符のアキ量設定の文字クラス

2件のコメント

  1. +DESIGNING vol.42 P.36で「引用符はとにかく面倒くさい」と説明したのですが、具体的にどう対処すればいいのかほとんど書けませんでした。その補足でもあります。

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