「字詰め」って言わない方がいいよね

個人的な雑感です。

「字詰め(じづめ)」という用語があります。人によって、これは全く異なる意味で使われています。

  • 一行あたりの文字数のこと
  • 文字間をより狭くすること

どちらも文字組版に関わることなのですが、指し示していることはまったく違います。私は文字組版の現場で長年仕事をしてきたので、字詰めといえば文字数のことです。文字間をツメる意味でこの用語を使われると、かなり違和感があります。

でも、もはやどちらが正しいという問題ではなくなっています。仕事の打ち合わせで相手が「じづめ」と言った時に、どちらの意味なのかをまず探らないといけないのが現状です。相手の経歴、職能、年代などを推測しながら、話の流れでどちらなのかを察していく。そのくらいハイコンテクストすぎる用語になっています。

このように普通に伝わる期待や安心が喪失し、疑念が先に立ってしまう時点で、もう用語としては破綻しているのではないでしょうか。

どちらが一方的に悪いといったものでもありません。「字詰め」だけで意味を同定できなくなった現状は変えられません。だったら、もうこんなコミュニケーション不良をまねくような用語なんて、大人の配慮として使わない方がいいでしょう。「一行の文字数」「文字間のツメ」と誤解の余地がない明確な言い方をすればいいのではないでしょうか。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です