Glee 1.11.0

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Glee 1.11.0 を公開しました!
ダウンロードは Glee Web サイトでどうぞ。

  • CS6以降のinddはメジャーバージョンのみ検出するようにした。
  • 情報ウインドウのボタンをキーボードショートカットで押せるようにした。(thanks! 尾花さん)

今回はかなり大きな仕様変更をしました。CS6以降のinddから検出するのはメジャーバージョンのみにしました。なぜかというと、Gleeが拠り所にしているindd内のバージョン情報が、CS6以降で不正確になってしまったからです。
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InDesignドキュメントを新しいバージョンで開くと文字化けしたり文字組みが変化したりする可能性がある

InDesignドキュメント(.indd)を作成バージョンより新しいバージョンで開くと、文字化けしたり、文字組みが変化したりする可能性が大いにあります。これは、InDesignがバージョンアップ時に不具合を修正したり、仕様を変えたりするのが原因です。しかもリリースノートに記載されない場合もあり、そのようなものは一部の人たちだけが発見して知っているような状況です。もちろん、それまでなかったバグが新たに発生している場合もあります。

こうした情報をまとめたものが見当たらなかったので、ここにまとめておくことにしました。漏れがありましたら教えてくださいな。


なお、新しいバージョンで開いたときの変化を人の目だけで見つけ出すのは100%不可能です。「inddを新しいバージョンで開くと必ずどこかが変化する」と考え、PDFで差分を比較するなどして、しっかり確認をしないと簡単に事故になってしまいます。

このページを作ったのは、InDesignドキュメントを新しいバージョンで開くなんていうのは不用意に気軽にしていいことではないと注意喚起するのが目的です。


全バージョン
InDesignで引用符を合成フォントの特例文字で欧文フォントにしている場合の引用符のアキ量設定の文字クラス

CS3 以降
矢印系の文字が欧文扱いされたので、欧文の行分割禁止の影響を受けるようになった。
InD-Board No.7794

CS4 以降
[角オプション]の角丸の円弧形状は当初から少し歪んでいたが、CS4で四角個別に設定可能になったのに合わせてさらに歪みが悪化した。

CS5 以降
「欧文泣き別れ」の仕様が変更された。
InDesign CS5の「欧文泣き別れ」はハイフネーションと連動している – 実験る~む

CS5 以降
字形パネルの言語が「言語なし」になっている文字でグリフ置換が無効になった。
https://twitter.com/monokano/status/1068759462507274240

CS5 以降
不正な異体字属性が適用された文字が化ける。
InDesignの異体字属性伝染と文字化け(深刻なバグ) – ものかの

CS5 以降
同一行にBMP外の文字が存在するとカスタムのアンカー付きオブジェクトの直前に意図しないアキが発生する。
(CS5以降)アンカー付きオブジェクトの前にアキができる |Adobe Community

CS5 以降
特定の条件でルビが文字化けする(□に╳のミッシンググリフになる)。
フォントはファミリー単位で運用するのが吉 – 実験る~む

CS6 以降
SINGが全廃され、SINGを利用して表示していた文字が化ける。
【InDesign CS6】SINGを使ったドキュメントを開いてみる

CS6 以降
約物に設定した圏点が表示されない。
Indesign CS6における圏点の仕様について – DTP駆け込み寺

CS6 以降
文字に適用した効果がPDF/X-4で書き出すと消失してしまう。
InDesignで内側に掛かるオブジェクト効果を使ってPDF/X-4保存すると効果が消える
※CC 2018で修正された。

CS6 以降
連数字処理の仕様が変わった(不具合?)。
InDesignではCS6から単数行コンポーザーの結果が変わる

CS6(8.1)以降
「ここまでインデント」の不具合が修正された。ただし、CC 2014のみ不完全なまま
No.03 ここまでインデントの不具合修正 | InDesign CC 2014 | InDesignの勉強部屋(2014.6.19)
InDesign CS6 8.1.0 リリースノート(2015.1.29)

CC (9.3) 以降
合成フォントの数字がアキ量設定で欧文の文字クラスにされる不具合が修正された。
合成フォントを使用すると和欧間の文字組み設定が正常に動作しない (InDesign CC)

CC 2014.2 以降
.otfの欧文フォントの日本語の文字がアキ量設定で欧文扱いされる不具合が修正された。

CC 2019(14.0)
正規表現エンジンがUnicode 5.1準拠からUnicode 9.0準拠に変更され、略記法でマッチする文字が増えた(注:マッチ対象から外れた文字もある)。
正規表現の略記法 \d と \s と \w

CC 2019(14.0)
CS5以降の「同一行にBMP外の文字が存在するとカスタムのアンカー付きオブジェクトの直前に意図しないアキが発生する」不具合が直った。

2020(15.0)
CS4で悪化していた[角オプション]の角丸の歪みが修正された。
Adobe InDesign Feedback – Rounded corners aren’t perfectly rounded

2020(15.0)
縦中横に下線が表示されない不具合が修正された。
When applying underline feature to TateChuYoko, the underline doesn’t show

2020(15)
正規表現エンジンがUnicode 12.0準拠に変更され、略記法でマッチする文字が増えた。

2021(16)
正規表現エンジンがUnicode 13.0準拠に変更され、略記法でマッチする文字が増えた。


「互換性への配慮がありません」

PDF & 出力の手引き 2020 – Adobe Blogs
こちらからダウンロードできる「InDesign互換性ガイドブック」のPDFには、そもそも互換性を配慮していないことが明記されています。なお、ここまでちゃんと言い切ったのはAdobe Japanの良心であると私は評価しています。


その他

浮紙 4.1.2


浮紙を4.1.2にアップデートしました。macOS Sierra 10.12対応です。
ダウンロードは浮紙専用ページでどうぞ。

  • macOS Sierraでサイドバーのリストをダブルクリックしてメニューを表示するとフリーズしてしまう不具合を修正。(thanks! 井上さん)
  • 履歴メニューに同一ファイルが複数表示されてしまう不具合を修正。
  • 動作環境がOS X 10.7以降だったのを10.4以降に変更。

浮紙はv.5の開発に行き詰まって、まだ公開の目処が立ちません。なので、v.4の開発終了を撤回します。v.5ができるまで最新OSでも動くようにしていきます。(でも結構限界にきているので、v.5をなんとかしないと…)

ヒラギノ Pro/ProN/Std/StdNは
「オプティカル」と「文字ツメ」を使うと事故る

ヒラギノ Pro/ProN/Std/StdNは、「オプティカル」と「文字ツメ」を使うと事故になる(可能性が大いにあります)。

理由

OS X 10.11 El Capitanで、ヒラギノ Pro/ProN/Std/StdNの仕様が変更されました。

OS X El Capitan(10.11.2)搭載のヒラギノフォントと 弊社製品版フォントについて

ここで最も問題になるのが「■2.濁点類の大型化」です。

SCREENのWebページには、Adobeの「オプティカル」機能を使うと、新旧ヒラギノで文字組みが変化して事故になってしまうことがあると書かれています。

さらに、そこには書かれていませんが、濁点類の大型化で右と上のサイドベアリングの数値が変わるので、Adobeの「文字ツメ」機能でも事故になってしまうことがあります。

対策

El Capitan以降が混在する今のMac DTPでは、とにかく、OSのバージョンに関わらず、

ヒラギノ Pro/ProN/Std/StdNは「オプティカル」を禁止
ヒラギノ Pro/ProN/Std/StdNは「文字ツメ」を禁止

にしてしまうのが、事故を予防する最善策かと思います。

El Capitan登場以降のMac DTP

El Capitan以降のOSX附属フォントの問題は、游明朝体にもあります。

OSX附属の游明朝体はInDesignで気をつけよう

それでも、ヒラギノ Pro/ProN/Std/StdNの方が影響が広汎で、游明朝体より深刻です。
ヒラギノの「オプティカル禁止」「文字ツメ禁止」でほとんどの事故は防げるのではないでしょうか。

InDesign CS6をまともに仕事で使えるのは
OS X 10.10 Yosemiteまで

どこにもはっきりと書いたものがないので、ここに書いておきます。

InDesign CS6をまともに仕事で使えるのはOS X 10.10 Yosemiteまでです。

Adobe Creative CloudはCS6からインストールできて、OS X 10.11 El Capitan以降にもインストールできてしまいますが、「起動しない」「起動してもクラッシュする」等々、あまりに不安定で仕事で使える状況ではありません。

CS6だけでなく、InDesignのCSシリーズは、OS X 10.11 El Capitan以降で仕事に使うのはあきらめてください。

追記:
2019年5月9日、Adobe CCからCS6のインストールができなくなりました。かつて販売されていたパッケージ版のCS6はライセンス上の問題がないので使用できるとのことですが、やはりパッケージ版も同じアプリですので、同じ理由でEl Capitan以降で仕事に使うのはあきらめてください。


◉注記1:
Adobeが動作保証しているシステムバージョンの一覧は公式にはなく、「実験る~む」の中の人が頑張ってまとめてくれています。
自分めも:Adobe製品の必要システム構成の一覧表(CS1~CC 2017対応版)
AdobeがCS6で動作保証しているのは、OS X 10.9 Mavericksまでです。ここで私が「OS X 10.10 Yosemiteまで」と書いた根拠は、以下の通りです。


◉注記2:
CS6をどうしてOS X 10.11 El Capitan以降で仕事に使ってはいけないのか。
例えば、游明朝体はEl Capitan以降で仕様が変更されています。
OSX附属の游明朝体はInDesignで気をつけよう
游明朝体だけでなく、ヒラギノもEl Capitan以降で仕様が変更されています。
OS X El Capitan(10.11.2)搭載のヒラギノフォントと 弊社製品版フォントについて

仮にあなたがEl Capitan以降でCS6が使えたとしても、印刷会社で同じ環境を用意できるとは限りません。あなたが納品した.inddを印刷会社がEl Capitan未満でCS6で開くと、上記のフォントが使われていたら、文字組みが変化して事故になってしまう可能性が大いにあるのです。

仕事では「.inddが自分以外の環境で開かれる」ことが必ずあります。あなたのところだけEl Capitan以降でCS6が使えたところで、はた迷惑でしかないのです。