CiPTがどのような立ち位置のツールなのかを、ここで説明しておきますね。
CiPTはクリップボードのテキストをプレーンテキストにするツールです。2003年の公開当時、OSXに対応したものは、たしか「OnlyText X」しかなかったと記憶しています。なので、この手のツールとしてCiPTは最古参のひとつといえます。
今は同様のツールがたくさんあります。それぞれにいろいろな特徴があり、選択の幅が広がってどれを使うか悩んでしまうくらい。App Storeにもたくさんありますよね。良い時代になりました。もっと便利でかっこいいツールがあるので、CiPTは古くさくて見劣りするようになってしまいました。
それでも、今でも唯一CiPTだけが実装している(たぶん)機能があります。「結合文字列をなるべく合成する」正規化の機能です。それもただNFCを適用するのではなく、合成除外が分解されないように(たとえば互換漢字が統合漢字に変わってしまわないように)しています。この機能を実装したのは2006年、当初からそうしていました。私のアプリはDTP用を想定しているので、結合文字の混入はやばいですし、結合文字と関わらない符号位置まで勝手に変わってしまうのも絶対に避ける必要があったのです。ただ、この機能はデフォルトでOFFになっていて、今思うと慎重にしすぎたようです…。
その後、InDesignやIllustratorがテキストペースト時に強制的に正規化をするようになり、クリップボードだけ対策すれば済む話ではなくなりました。そこで「FILL InDesign」と「ScriptKeyAi」に書式なしペースト機能を実装し、以降、私自身はCiPTを使わなくなり、しばらくして「もういいかな~」と公開をやめてしまったわけです(昨日復活しました)。
「Unicodeの合成除外とHFS+の正規化」を書いたのも、NFCをただ単に適用するのは危険だから他のツールも配慮してほしいなぁという思いがあったからです。それを具体的にCiPTで示していたつもりでしたが、放置していたらそういうこともすっかり忘れちゃっていました(ひどい)。
ということで、CiPTは独自の特徴もありますが、素晴らしいツールが他にもあるので、それぞれやりやすい方法で対策してくださいね。