普通のUnicodeはNFCなのか

「普通のUnicodeはNFC」というおかしな風説が流布されています。文字っ子にしてみれば「なに言ってんの?」となるのですが、この風説のどこがおかしいのかを説明しようとすると途方に暮れます。もうどこから突っ込んでいいのか分からない。

一番難しいのは「普通のUnicode」自体が何を指しているのか分からないことです。Unicodeに「普通」とか「普通じゃない」なんて区別はありません。でも区別してそう言っている。どこで区別しているんだろう?

zrbabblerさんがブログ記事「“普通のユニコード”は NFC なのか」を公開されました。ここでは「普通のUnicode」を「レガシーエンコーディングから変換して得られたUnicode文字列」としています。実証的な説明をするにあたってこれしかないというくらいに秀逸ですし、説得力があります。

ただ、「普通のUnicode」と言っている人たちは、そういう意味で言っているのではないような気がするんですね。そこでzrbabblerさんのブログ記事とは別の視点で考えてみることにしました。
続きを読む →

OSX附属の游明朝体はInDesignで気をつけよう

OSX附属の游明朝体は10.10 YosemiteでAdobe-Japan1でしたが、10.11 El Capitan以降でAdobe-Identity-0に変わっています。

このROS変更は、InDesignのアキ量設定に影響を与えます。とくに和欧間のアキへの影響が大きい。つまり、.inddを開くときのmacOSのバージョンによって、游明朝体の箇所で、なかったはずの和欧間が発生したり、あったはず和欧間が消失したりして、事故になる可能性が大いにあるということです。

詳しくは下記のツイートから連投で説明していますので、日付の箇所をクリックしてご覧ください。

追記1:
游明朝体のROS変更はフォントベンダーがしたのではなく、Apple側が「36ポかなを取り込んで.ttcにまとめる」ときにやってしまったことです。
なお、游ゴシック体はAdobe-Japan1のままで変わりません。

追記2:
字游工房|JIYUKOBO | OS搭載の游書体について
こちらからダウンロードできるPDF資料では、El Capitan以降の游明朝体もAJ1-6と書かれています。これは正しくもあるし、間違いでもあります。グリフとCMapとGSUBはたしかにほとんどAJ1-6準拠です。しかし、フォント内のROS情報はAdobe-Identity-0です。アプリはAJ1ではなく、Adobe-Identity-0のフォントと認識しています。

InDesignで引用符をどうすればいいのか

InDesignで縦組みにしているとき、下図のように適切に「和文の引用符」と「欧文の引用符」を使い分けたいですよね。
理想の引用符
でも自動的にこうなってくれません。以下のうちのどれかになってしまいます。
最初の状態
こうなるのには根本的なワケがあります。

英数字などは、文字コードのレベルで(いわゆる)全角/半角に分けられていて、これがそのまま和文用/欧文用として区別されています。文字入力の時点で全角/半角を使い分けることで、InDesignにもこの区別がそのまま反映されます。

ところが、引用符は文字コードのレベルで全角/半角の区別がありません。そのため文字入力でも和文用/欧文用の区別ができません。InDesginでもどちらか一方のみになってしまいます。これが引用符の文字組版を難しくしています。

それでは、引用符を適切に使い分けるにはどうすればいいのか。結局のところ、InDesignに文字を入れた後に、個々の引用符をそれぞれ個別に和文用/欧文用に設定するしかありません。

以下はそのベストな設定を考えたものです。なるべくシンプルな設定を目指しました。
続きを読む →